2020年は、疫病と人間の切れない関係を改めて全世界で確認しているところだが、疫病と香りも、切っても切れない関係にあったことを再認識できた。
  
古代から19世紀において、ペストは様々な形のバランス崩壊において生み出されたものと考えられていた。
  
特に自然界の元素において、空気のバランスの崩壊により、空気に腐敗と毒の元、毒気(miasma=ミアズマ(ギリシャ語由来))が発生する事が原因で、また、他には、暴飲暴食や不摂生、情動などにより、蝕まれた人間の体自体が誘発するものだとしていた。
  
空気のバランスが崩れる理由には、長期的な嵐や人が呼吸をして空気が汚れるということが関連づけられていた。
  
その中で、空気にある毒気を、香りで清めることで疫病に対峙しようという事の発想が出たことは自然でもあるかもしれない。
  
現在の西洋医学が信頼性を持つに到るまでの過程で、香りを持ってされた試行錯誤がより信じられていて、非常に興味深いものだった。
  
現代人の感覚でいえば、植物の香り自体に殺菌作用があるという観点から、空気や、汚染された物や人を殺菌し、清浄にしていくという発想になるかもしれない。

しかし、15世紀のある時の西洋での、疫病対策では、良い香りで抑えることができなかったものは、より強い香りでという着想になった。

「刺激臭の強い香り(動物の排泄物や、火薬など)」、「普通の香り(動物の香りなどの刺激臭を抑え気味に、より多くの芳香物質を合わせた香り)」、「甘い香り(蘇合香、安息香、ラダナム、ミルラなど)」を調香師が、公証人立会いの上、住民に外に出てもらい、3種の香りを2日・3日かけて、家に燻り渡らせて、最後は「甘い香り」を使って、ビネガーや塩で食器や貴金属などを清めるという非常に大掛かりなものだった。
  
また、都市丸ごとの消毒をする場合は、大砲を用いて、その火薬の香りで浄化を図ることもあったそうだ。
  
その後の17世紀では、「アロエ」と「樟脳」が万能薬とされ、また様々な試行錯誤がされた。
  
これらの、香りを用いた疫病対策は、当然、淘汰され残らなかったが、空気にある毒気の正体が有害なウィルスや菌であった事、また、不摂生による免疫力の低下がよくない事など、ほぼ正解の答えを導き出している、昔の人の感覚に頼った洞察の鋭さに驚かされる。その洞察は「匂い」で想像し、判断されている事が多いように思う。
  
そして、昔よりは物事の解明が進んでいて、便利な世の中に住む、現代人に同じぐらいの感覚力があるだろうか。
  
  
〈参考文献=LES POUVOIRS DE L’ODEUR (匂いの魔力−香りと臭いの文化詩−) 著:アニック・ル・ゲレ〉

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